小説「破戒」出版から100年

複雑な世の中になっている現在、様々な面において変わりつつあるがまだまだいろいろな所で偏見や陰湿な差別、いじめはこの社会に潜在しています。

明治の奥信濃、飯山を舞台とし秋から初冬にかけての一ヶ月を瀬川丑松を主人公に偏見と差別を題材に書かれた小説「破戒」があります。

「破戒」の作者は島崎藤村であります。
「破戒」は1906(明治39年)3月25日に出版されました。
島崎藤村が34歳の誕生日に自費出版されています。

ですから、今年は出版からちょうど100年になるんです。

出版の反響は大きく、初版第一版はすぐに売り切れて、夏目漱石や島村抱月も絶賛し外国の自然主義文学に並ぶ文学と評価されています。
しかし、その内容の様々な論議から藤村は1929年7月新潮社からの「破戒」を絶版にしたり、10年後の1939年2月には再版の声に応え、藤村は二百数十ケ所の言い換えや削除をして改訂版の「破戒」を再出版をしています。
1953年に刊行された「現代日本文学全集」に収録の「破戒」は初版本が復元されています。

毎日の新聞やニュース等で人間社会がつくりだす葛藤や矛盾等の問題が取り上げられ事件化しているのを見るたびに、
経済や科学が日々進歩していても人間が持つ本来の感情や性格の成長には時間が掛かるしいろいろな交わりが必要なんだと・・・・

島崎藤村の 小説「破戒」出版100年目に思いにふけりました。

飯山市にある真宗寺(浄土真宗本願寺派)という寺は、小説「破戒」の蓮華寺のモデルなんです。

「蓮華寺では下宿を兼ねた。瀬川丑松が・・・・寺は信州下水内郡飯山町二十何ヶ寺の一つ・・・」

寺を訪ねると、島崎藤村の「破戒」の第一章を刻んだ文学碑があります。
藤村は、この飯山を”小京都”と呼び、明治36年頃、たびたび飯山を訪れたとい言います。このことは「千曲川スケッチ」に見ることが出来ます。

もう直ぐ真宗寺前の通りの桜並木も花が咲き始めます。

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